Musc Tonkin/ Parfum d'Empire
パルファムダンピールのムスクトンキンにひと嗅ぎ惚れして、ここ数日常に香りを漂わせている気がする
最初に一瞬シトラスとグリーンを帯びた薄く鋭い人工的なフローラルが直線的に香り、すぐにその下にカストリウムに似た毛並みを感じる動物香が現れて、厚みを増していくように下に層が広がっていった
次第にカストリウムの中にシベットの刺激が混じってちょうどそれらの中間のような動物香となる
直線的に香っていた花はジャスミンとなり動物香の表面を覆うように重なって、全体ではインドリックな花として感じられた
じわじわとジャスミンは薄く表面に留まったままオレンジブロッサムへと変化していく
カストリウム&シベットは、特定の香りというより質感・質量として感じられるムスクに包みこまれていった
そのモワッと動物的に揺らぐ分厚い層は、香水を吹きかけた場所を中心に身体の周りに広がっている
ムスクには花も淡く溶け込み、「花のような生温かい人肌の香り」として色っぽく漂うのが印象的
肌付近に鼻を近づけると、まずは強烈なオレンジブロッサム、段々とアクアティックな要素が目立ち始めて、いつの間にかツンと刺してくるようなオークモスになった
鼻を肌から遠ざけると、ムスクにオークモスのニュアンスが混じり込んでおり、柔らかなフローラルシプレ調のアニマリックムスクが鼻に届く
体感ではしばらくシプレムスクに包み込まれているのだが、突然イランイランの堂々としたフローラルが肌付近から巻き上がり、あくまで鼻に届くのは動物的なムスクがメインながら全体がよりゴージャスになった
薄くクミンのような汗ばんだ香りも
その後はムスクを中心に要素が揺らぎながら長く香り続けた
濃厚なアニマル要素/薄く鋭いフローラルシプレ要素のバランスがおもしろい
片方だと不快になりそうなのに、全体では古典の趣を感じさせつつ重くなり過ぎないフローラルシプレ調の豪華なムスクとして感じられた
お腹辺りに1プッシュで漂う色香を楽しむのもよいし、他の香りの厚み増し用にも使いたくなる