Salome/ Papillon Artisan Perfumes
パピオンアルチザンパフュームのサロメ
最初滲み出るように低くゆるやかに香るのは艶々したオレンジからのオレンジブロッサム
暗いインドール感と陰湿なオークモスが下への引力を感じさせた
分厚く重い質感のムスクとムスクよりワントーン暗いハイラックスがベースにあり、全体的にアニマリックな印象
しかしダーティとまではいかず、石鹸のようにファッティでマットな質感で地塗りされているのがおもしろい
追って獰猛な獣のようにトゲトゲしたカストリウムが一気に湧き上がり、ジャスミンはカストリウムを透かして感じられるようになった
さらにクミンが表面をザラつかせ、ジャスミンにスパイシーなカーネーションが混ざって鋭さを後押しするのだが、ファッティな地塗りが高級バラ石鹸のようなアルデヒドっぽいローズに変化して目立ち始め、鋭くはなりすぎない
時々明るいアンバー調のトロリとした甘さが覗く
よく嗅ぐと奥にタバコの渋さも
さらに経つと高級ローズ石鹸香の下にスモーキーなレザーが現れ、レザー・アニマル・スパイスの効いたかっこいいフローラルになった
また、肌付近ではあまりわからないのだが、身体を包むようにふんわりとバニラのクリーミーな質感と仄かな柔らかい甘さ、ヘイのアニス様のスパイシーな甘さが漂っている
最後は丸みを帯びたカストリウムとレザー、フローラルがたっぷりとしたムスクに溶け込んでゆっくりと遠ざかるように消えていった
全体的にアニマリックながら品がある
最初のオレンジブロッサムはジャンデプレのバラベルサイユ、ムスク&ハイラックスはパルファムダンピールのムスクトンキンを連想した
公式サイトによると、元は女性ダンサーの写真が着想源で、そこから(恐らく聖書ではなくオスカーワイルドの)サロメに繋がった様子
このサロメは、生首と並ぶ場面ではなく、ギュスターヴモロー《ヘロデ王の前で踊るサロメ》のように王の前で舞う場面を想定していると考えられる
以下はサロメ解釈に明るくないので適当な戯言
モローのこの絵は典型的オリエンタリズムのようでいて、実は一方的な王(=西洋・男性)の視線に晒されているのではなく、むしろそれを利用して自らの欲望を叶えようとする女性の絵でもあるという逆転がある
そんなことを考えながらサロメの香りを纏うと愉快