Le Sillage Blanc/ Dusita
Dusitaのルシアージュブラン
最初から勢いよく広がるのは、粒子が細かく特有の刺々しさが控えめなガルバナムと、新鮮な緑茶の葉のように清々しいアルテミシア
よく嗅ぐとオレンジ系の柑橘果物香が混じっており、仄かに甘い
少しすると、ザラついた渋苦いレザーがガルバナムの影のように後ろで香り出す
ガルバナムとアルテミシアに混じって微かにお茶っぽいジャスミンのニュアンスが感じられたあと、ガルバナムが残り、クリーンでツンツンしたところのないムスクを含むたっぷりした空気の中で拡張されるように香った
レザーには軽くオレンジブロッサムが重なり、どこか色気を帯びているように感じられる
その後湿った深みのあるパチュリがレザーの背景に現れ、追って重なるダスティなモスと共に存在感を強めていった
全体ではモスとレザーを中心にガルバナムのグリーンな苦味を表面に散りばめているようなバランス
時間の経過とともに、モスとレザーはさらに深みとしっとりした色気を持つ湿度を増していく
最後はパチュリの深い甘みが強く出たのち、ガルバナムとレザーの苦みが長く残った
着想源となったバンディはムスクが動物的・ダークだが、こちらはクリーンで明るく、全体の雰囲気を現代的に傾けている印象
私の中では圧倒的に早朝の白い日の光を連想させる香りで、本能的に心が安らぎ好ましいと感じる
個人的なことだが、私の家のカーテンは軽く日の光が透ける自然な肌触りの素材で、色はほんの少し雑味の混じった白、ベッドは窓際にある
天気のよい早朝に目を覚ますと、視界に入るのは白い天井と白いカーテン、透ける白い光だけの柔らかな白い世界で、この香りが想起させるイメージはこの景色に近い