Lost In Heaven/ Francesca Bianchi
柔らかく明るい柑橘で始まり、すぐにグリーンの気配が感じられるようになる
さらにすっきり系ジャスミンが混じり、クリーミーなオリスルート・パールのような質感のサンダルウッド・仄かなヘリオトロープのアーモンド菓子様の甘さへと滑らかに繋がっていった
オリスルートなどと同時に粒子の細かいクミンとカストリウム、微かにシナモンが現れ、アニマリックなヴェールとして重なる
ここまで最初の数分で移ろい、早い展開と大きな振り幅が楽しい
その後オリスルートの上・動物的なヴェールの下で、オレンジ要素が強く艶やかなオレンジブロッサムが主張し始めた
時々パウダリーなミモザがオリスルートの中に感じられることも
オレンジブロッサムはなだらかに肉厚で滑らかなイランイランへと変化してゆき、しばらくメインで香った
イランイランが弱まると、オリスルートやサンダルウッドの優しいウッディパウダリーさが引き立ち、アンバーウッディ調の気配も混じる
カストリウムやクミンのヴェールはずっと続いており、粒子が細かく繊細なため、悪目立ちせず花などと馴染みつつアクセントになっている
その後動物的な要素は薄くなり、オポポナックスの丸いスモーキーさとトンカのセミマットで控えめな甘さが、クリーミーさを増したサンダルウッドなどと馴染んでいた
鼻を近づけると、ビーワックス様のベタつきが肌に貼り付いている
最後は、微かにアニマリックな暗さを含んだムスクにイランイランとオレンジブロッサム、オポポナックス 、ヘリオトロープなどがニュアンス程度に溶け込み、肌付近にぼんやりと柔らかく残った
P濃度なだけあり、終始香り立ちに角がない
クリーミーパウダリー・華やかフローラル・スパイシーアニマルの重なりが好みど真ん中で、香りの変化の滑らかさと初めの急展開の仕方も好感度高い
個人的には、もっと動物/花の対比を強調し、EDPくらいの濃度でも試してみたいと感じたが、日常生活で纏うことを考えると今のバランスがよいのだとも思う